加害者にならないために顧客に求められる“人間宣言”

 自身の振る舞いをチェックする際、どのタイプに当てはまるかは場面ごとに変わる可能性がある点には注意が必要です。

 スーパーでの自分の振る舞いとして思い当たるのは制裁タイプだったかもしれないが、飲食店で大声を張り上げてしまったのは神様タイプだったかもしれない、ということがあり得ます。

 社会の中で生活している以上、食料品や日用品、衣類を購入するなど何らかの形で顧客側にならない人は存在しません。つまり、誰もが“カスハラ加害者予備軍”だということです。さらには、無意識のうちに「お客さまは神様です」という言葉を曲解したまま価値観として染みついてしまっていて、自覚のないまま神様タイプのカスハラ加害者になっていることだって考えられます。

 また、無意識に加害者側になっているかもしれないのは、カスハラだけではありません。パワハラやセクハラ、マタハラなど、さまざまなハラスメントにおいて、自分が無意識に悪気なく加害者になってしまっている可能性もあります。

 それら他のハラスメントの防止意識を高める意味においても、自らがカスハラ加害者にならないよう心がけ、セルフチェックを癖づけるのは有意義な取り組みです。

 そこでまずは、誰もが無意識のうちにカスハラ加害者になる可能性があることを踏まえて一人一人が“人間宣言”することから始めてはいかがでしょうか。当然ながら、私もあなたも神様などではないのですから。

【川上 敬太郎(かわかみ・けいたろう)】
ワークスタイル研究家。男女の双子を含む、2男2女4児の父で兼業主夫。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ約5万人の声を調査・分析したレポートは300本を超える。NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」等メディアへの出演、寄稿、コメント多数。現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。