正義感、個人的感情から引き起こすカスハラの「加害者タイプ」
カスハラへの注目が集まるようになればなるほど、顧客側も加害者にならないよう自らの言動に注意を払い自重するようになっていくでしょう。しかしながら、それでも無意識にカスハラの加害者になってしまうことはあり得ます。
「激しい言動の自覚」の有無を縦軸、「言動の動機」が正義感なのか個人的感情なのかを横軸として分類してみると、無意識カスハラの加害者には大きく次の4タイプがあります。
カスハラになっているとまでは思っていないものの、自らの言動が激しいものだという自覚があり、かつその言動の動機が正義感である場合は【義憤タイプ】です。接客などに不快な思いをした際、「あるべき姿としておかしい」「プロの振る舞いではない」「他のお客さんも不快に思っているかもしれない」といった正義感から、店員の振る舞いを正そうとする中で気持ちが高ぶり、言動が強くなってしまうようなケースが該当します。
一方、カスハラだとまでは思っていないものの、自らの言動が激しいという自覚はあり、その言動の動機が「腹が立った」「気に入らない」など単に個人的な感情によるものである場合は【神様タイプ】です。お客さまは神様ですという言葉を「客である自分は神様のように偉い」という意味に曲解して、「これくらい強い態度に出ても問題ないだろう」と横暴な振る舞いをしてしまうようなケースが該当します。
それに対し、相手が悪い前提で正義感から罰を与えるかのような振る舞いをするものの、自らの言動が激しいものだという自覚が全くないのは【制裁タイプ】です。「あるべき姿としておかしい」「他のお客さんも不快に思っているかもしれない」といった動機は義憤タイプと同じですが、感情的に振る舞うわけではありません。
むしろ冷静に、相手から謝罪を受けたとしても「お詫びは不要です。具体的にどう改善するのですか?」と納得できる回答が得られるまで、どれだけ時間がかかっても徹底的に相手を問い詰めていく行為が行き過ぎてカスハラになってしまうようなケースです。
最後に、「腹が立った」「気に入らない」など個人的感情をぶつけてはいるものの、言動が激しいという自覚がない場合は【天然タイプ】です。本人としては相手をこらしめてやろうなどと特別強い言葉や態度を示したつもりはないものの、普段から乱暴な言葉を使っていたり、地声が大きかったり、アクションがオーバーといった特徴があると、受け手側はショックを受けてしまうことがあります。
誰しもが、自分にはそのつもりがなくても、気づかないうちにカスハラに該当する振る舞いをしてしまっているかもしれません。まずは、自分もどれかに当てはまっていないかを確認してみることで、言動を客観的に振り返ることができます。