日産・ホンダの統合、実現すれば鴻海にとってむしろチャンス

 昨年10月、三菱自動車が243億円の特別損失を計上して、中国市場から撤退。今年6月には、日産が東風日産の江蘇省常州工場を閉鎖。10月には、ホンダが広東省広州の広汽ホンダの第4工場を閉鎖。11月には湖北省武漢の東風ホンダの第2工場を休止……。

 このところ、日本の自動車メーカーの中国市場における「苦戦」を伝えるニュースばかりだ。新車の販売台数が年間3000万台を超え、世界最大の自動車市場である(世界2位のアメリカの2倍規模)中国で、淘汰(とうた)されつつある日本メーカーは、「今日の中国市場は明日の世界市場」と危機感を募らせている。加えて、「鴻海の野心」に脅える日産は、背に腹は代えられなくなり、ホンダとの経営統合に向かうというわけだ。

 ではこれで鴻海の「日産買収」の野望は潰えたのか。いや、どうやら鴻海は諦めていない模様だ。前出の元鴻海の幹部は語る。

「日産とホンダが経営統合すれば、郭元会長は『さらにチャンス到来』と思うだろう。なぜなら、いくら経営統合してもうまくいかず、さらに大きくなった日本企業を買収できると判断するからだ。このまま円安が続けば、統合した両社を買収するにしても、それほど大きな負担ではない」

 自動車産業は、日本経済を支える唯一の残された屋台骨と言われてきた。だがもはや、「最後の砦」も危うくなってきた――。