国民に向けた「涙の謝罪」
2022年の大統領選挙期間中、野党の主な攻撃ポイントは金夫人だった。選挙序盤から左派インターネットメディアは〈金夫人はホステス出身で、過去には尹大統領の検察時代の先輩と同棲していた〉という噂を流し、証人も登場させるなど、大衆の低俗な好奇心を刺激した。
その後も主要メディアによる大統領候補者検証過程で、金夫人の「論文盗作」「経歴水増し」「株価操作」などの各種疑惑が浮上し、“金建希リスク”は本格的に顕在化してきた。この時は、金夫人が国民の前で涙の謝罪会見を開き「内助にのみ専念する」と約束したが、結局、約束は守られなかった。
大統領就任式直後から「大統領への内助のため」という理由で歴代大統領らの夫人たちを訪問する活動を開始、さらに尹大統領の各種行事に同行しては華やかな容貌でメディアの注目を集めた。行事に同行することも内助と言えるだろうが、金夫人の振る舞いは尹大統領の存在が霞んでしまうほど、過度な注目を集め、同時に野党に格好の攻撃材料を多く提供した。
例えば、金夫人には儀典上のミスがよくあった。前職大統領らの夫人を訪ねる時、自分が経営していた会社の職員を同行させたり、大統領の欧州歴訪に同行する際、大統領専用機に金夫人の随行員として民間人を同乗させたりするなど「儀典法」に反する状況が繰り返され、野党とメディアに非難の種を提供した。