大統領選挙まで残り3カ月後を切った韓国では、有力候補の支持率が乱高下する状況が続いている。
11月まで終始リードを保ってきた野党「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補が相次ぐ悪材料で支持率を落とし、与党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)候補にリードされる場面が目につくようになってきている。大統領選挙の行方はまさに五里霧中の様相だ。
支持率は拮抗
12月17日、世論調査機関の韓国ギャラップが発表した「大統領選挙候補支持率」は、李在明候補が36%で、尹錫悦候補を1ポイント差でリードする「ゴールデンクロス」(支持率逆転)を達成した。同調査で一時期、8ポイントもの差をつけてリードしていた尹氏が、ついに李氏に追い抜かれてしまった。毎週7~8つもの世論調査が発表される韓国では、依然として尹氏が李氏をリードする世論調査の結果も多いが、どの調査を見ても、両者の支持率の差が縮まっていることは事実だ。
支持率拮抗の理由は、李在明氏側ではなく尹錫悦氏側にあると言える。
まず、国民の力の大統領選挙キャンプの構成を巡って勃発した党の内紛が国民を失望させた。尹側の人選に不満を抱いた李俊錫(イ・ジュンソク)代表は、3日間も党務をボイコットし、側近の党役員を引き連れて地方行脚をしながら各メディアに登場、「代表は候補の部下ではない」「尹氏の周りにハエの群れがはびこっている」など、尹氏に対して公然と非難を浴びせかけた。尹氏が地方まで李代表を迎えに行ったことで2人の葛藤は表向き一件落着となったが、この過程で尹氏の指導者としての評価は大きなダメージを被った。
尹氏本人も、大統領としてのビジョンを提示できず、反文在寅感情にだけ頼り、政権交代を望む国民に確信を与えられずにいる。今回の大統領選挙では、経済の立て直しができる指導者を望むというのが多くの韓国国民に共通する声なのだが、尹氏には国民を説得させるだけの経済公約がないのだ。