当選5回の趙慶泰(チョ・ギョンテ)議員は、「国民を憤らせる談話だった」とし、「もう大統領とは呼ばない」と述べ、弾劾賛成の意思を明確にした。他にも7人ほどの韓東勲系議員が弾劾賛成の意思を明らかにしている。

内乱罪なら死刑や無期懲役の可能性も

 それでは、なぜ尹大統領は、与党議員まで怒らせる談話を発表したのだろうか。

 それは「最大、死刑や無期懲役までありうる内乱罪」での捜査に対して積極的な防御をするためのものだ。現在、韓国検察、警察、公捜処は尹大統領を「内乱罪の首魁」と見なし、合同捜査本部を設置してスピード感のある捜査を進行中だ。

 さらに、民主党と野党が発議した2つの内乱罪特検(特別検事)法が国会を通過した。40人規模の検事が150日間捜査できる「一般特検法」と、5人の検事が90日間捜査できる「常設特検法」だ。

 また、一般特検法の場合は大統領が拒否権を行使できるが、常設特検法は大統領が拒否権を行使できない。現在のキャスティングボートを握っている国民の力の韓東勲系議員らの激揚した雰囲気では、一般特検法が大統領によって拒否されても再表決で通過(在籍議員の3分の2の賛成)する可能性が高い。

 結局、尹大統領は自分に着せられた「内乱の首魁」というフレームに対して、独力で防御しなければならなくなっている。