藤原隆家のもとで活躍した武士「平為賢」とは?

 双寿丸が主人とする平為賢(たいらのためかた)は、藤原隆家のもとで活躍した武士として実在しており、「府の止むこと無き武者」と称されるほど武勇に優れていたという。

 ドラマでは、刀伊の入寇で武功を立てたことで、為賢は肥前国を賜り、双寿丸もついていくことになった。双寿丸はまひろに「肥前に行くことになった」と告げている。

 さらに「殿が肥前守になられるゆえ、俺もついていく」と説明し、まひろが「平為賢様が肥前守になられるの?」と聞き、双寿丸が「そうだ」と答えるやりとりがあった。

刀伊の賊が上陸した片苗湾近くの猿岩(長崎県壱岐)刀伊の賊が上陸した片苗湾近くの猿岩(長崎県壱岐)

 実際の為賢については、肥前守を務めたかどうかも含めて、その経歴はよく分かっていない。ただ、為賢の一族が肥前に定着し、肥前伊佐氏のルーツになったのではないかとされている。

 双寿丸はこれから来る武家社会を予見するかのように、まひろにこう言っている。

「敵を殺すことで、民を守るのが武者なのだ」

 双寿丸の人生を変えたのが為賢ならば、為賢の人生を切り開いたのは隆家である。今回の放送では、隆家が異民族を撃退した皆をねぎらいながら、こんなことを言う場面があった。

「武力を備えることを軽んじてはならぬということを思い知らされた。これからは武者たちが国司となり、各国の要となり働けるよう、この先も朝廷に働きかけ続ける」

 やがて訪れる貴族社会から武家社会への転換。最終回でもその兆しが見られるのだろうか。