そんななか、練習後の囲み取材のときだったか、中田がある記者に向かって「うじ虫」と面罵したのだ。のちのインタビューでそのときの真意を訊かれた中田は、「そのまんまの意味」といい、「いまでも悪いとは思っていない」と語った。
わたしはこの発言を当時、スポーツニュースかなにかで、実際に見ている(さすがのYouTubeにもその映像はなかった)。
「おー、いったねえ、なにがあったんだ?」と、思った。あの冷静で静かな中田にこうまでいわせたのだから、よほど腹に据えかねたことがあったのだろう、と想像したが、なにがあったのかはわからない。
中田自身も「そのまんまの意味」とはいっても、中身を明かしたことはなかったのではないか。
しかしあれから26年たった現在でも、マスコミの一部の「記者」の体質はまったく変わっていない。
一記者の問題ではない。その上司を含んだ、チーム全体の体質が問題なのだ。
フジテレビの記者(じつは系列局の人間だという)が大谷翔平のロサンジェルスの新居の敷地内を盗み撮りしたり、近隣住民にインタビューをしたりして、報じた。自分たちの「スクープ」だと得意満面だったのだろう。
その結果、大谷はその新居に引っ越しをしないまま、売却を余儀なくされたという。
ドジャースがワールドシリーズで優勝したとき、フジテレビは元巨人選手の元木大介に、大谷のインタビューをさせようとしたが、大谷は嫌悪の表情をあらわにして無視している。
「俺をだれだと思ってるんだ」
記者たちの傲慢と横暴があらわになった事件を、もうひとつ記しておく。
2013年7月、橋下徹大阪市長が街頭演説をしているとき、街宣車の横にまで入り込んできた中年男がいたため、スタッフが警備上、立ち入らないように注意をすると、男はこう凄んだという。