塗装の工程(筆者撮影)
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「OEMというのは、僕らが作ったバットにメーカーの利益が乗るわけですから、当然、単価は安いです。またメーカーの都合で、受注量が決まります。もっと増やしたいと思っても、こちらの言い分は通りません。最近はメーカーが、野球事業から突然撤退するようなこともありますが、そうなれば、一瞬でその売り上げは飛んでしまいます。

 そういう状況を打破するために、独自の『SPARK』というブランドを作って、国内メーカーさんと競合しないアメリカで売り出そうとしたのですが、商標でバッティングするところがあったうえに、アメリカでは『なぜ日本のバットを使う必要があるんだ』と評価されなかったんです」

HAKUSOHブランドのバット(筆者撮影)
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難しい市場開拓

 アメリカのバット市場には、ミズノ、SSKが進出しているが、それ以外のメーカーはほとんど食い込めていない。

 しかし野球の競技人口は減少している。会社の将来、そしてバット職人という仕事の将来のためにも活路を見出さないといけない。

 松本氏は会社と相談してHAKUSOH BAT JAPANという別会社を立ち上げ、独自のブランドで勝負することにした。

 とはいっても、取引は続いているから既存メーカーと競合するわけにはいかない。新たな市場を求めて、松本氏の試行錯誤が続いている。