プロでなくても一人ひとりにフィットしたバットを

 このところ様々な「野球の現場」で、松本氏と顔を合わせる。プレミア12の強化試合では、チェコ代表にバットを提供していた。

HAKUSOHバットを持つチェコ代表マレク・フルプ、巨人でプレーする(HAKUSOH提供)
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 愛知県豊川市の株式会社白惣の工場には、アメリカ、カナダ、中国などから送られてきた円柱状に成形された木材が積み上げられている。

海外から送られてきた円柱状に成形された木材(筆者撮影)
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 松本氏らは素材をチェックして「これは軟式用、これは硬式用、こちらはプロ用」と振り分けていく。また各メーカーには異なる仕様があるから、それにも対応してバットを仕上げていく。スター選手もメーカーの担当者と共に工場を訪れ、細かな注文をしていくと言う。いわば、日本の野球界の「バット」「バット素材」に関する情報が、この工場に集約されているのだ。

 冒頭で述べた通り、野球競技人口は減少の一途をたどっているが、用具の単価は上がっている。生産量が減っていることもあるが、個々の選手が用具へのこだわり、愛着を持ち始めたことも大きい。

「うちのビジネスチャンスはまさにこの部分なんですね。今まではスター選手しかオリジナルのバットは作れませんでしたが、僕らはアマチュア選手や野球を楽しむ人にも、一人ひとりに合ったバットを作ってあげたい。HAKUSOH BAT JAPANの未来は、そこにあるんじゃないかと思っています」