2004年9月、日本プロ野球初のストライキ決行の後、3日ぶりにプロ野球が再開された神宮球場(写真:共同通信社)
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急下降し始めた巨人戦の視聴率

 これまで紹介してきたように、20世紀の終わりころまで、安定的に20%前後の視聴率を叩き出してきた巨人戦の地上波でのナイター中継は、2001年以降は急速に下落し、2006年には10%を割り込むようになった。

 この原因はいろいろ考えられる。サッカーなど他のプロスポーツが台頭、さらに娯楽が多様化し視聴者の選択肢が多様化したことが大きいが、地上波テレビそのものも、BS、CSなど放送のマルチチャネル化や、インターネット普及などで視聴者が減少していた。

 従来、巨人戦は全試合が地上波で放送されていたが、2005年以降、急速に減少。以後、野球中継はBS、CSなど衛星放送や、インターネット放送へとシフトした。

 このことは「巨人一強」「セ・リーグ優位」のプロ野球の勢力図が、40数年ぶりに変貌したことを意味していたが、当時のプロ野球経営者はこのことにほとんど気が付いていなかった。「正常性バイアス」が働いたのだろうが、当時の経営者の資質を疑いたくもなる。

 野球界を揺るがした2004年9月「球界再編」は、まさにそのタイミングで始まった。