アメリカ外交の行方
政権移行期における、以上のようなアメリカ外交の転換を世界は固唾をのんで注目している。
ウクライナ戦争は、どのような形で終わるのか。ロシアとウクライナ戦争のどちらに有利な形で停戦が実現するのか。NATOのヨーロッパ加盟国は、戦争を継続する意向であるが、盟主アメリカにその気が無ければ、継続は難しい。
中東も、ガザでの戦闘が終わったとしても、人質は解放されるのか。ハマスやヒズボラやフーシ派の後ろ盾であるイランの政策を変えることができなければ、紛争は再燃する。
トランプ第一次政権は、イランに対して極めて厳しい対応を示した。2018年、トランプは、オバマ政権が締結したイランとの核合意から離脱し、イランに制裁を課した。しかし、その対応がプラスになったという評価は下せない。今回はどのような対応をとるのであろうか。イラン側は、トランプと交渉し、核合意の再建と制裁解除を目指す意向だが、トランプ政権入りする閣僚たちは、対イラン強硬派である。
イランでは1979年1月にパフレヴィー王朝が倒れ、イスラム指導者ホメイニが2月11日に政権に就き、国名もイラン・イスラム共和国に変えた。11月には、学生らがアメリカ大使館を占拠し、大使館員52人を人質にとって立て籠もった。
2002年、イランが大規模原子力施設の建設やウラン濃縮などの核関連活動も明らかになり、アメリカはイランに制裁を課した。IAEAとの交渉で、2003年、イランは全てのウラン濃縮・再処理活動の停止を決めた。
その後も、イランの核兵器開発疑惑は続いていたが、2015年7月、米英独仏中露6カ国とイランが、イランの核開発の制限と経済制裁の解除を決めた核合意を決めた。
ところが2018年5月に、トランプ政権は一方的にイランとの核合意から離脱し、経済制裁を再開し、これに反発したイランは、核開発を再開した。イランは、核兵器をすでに保有しているとされるイスラエルに対抗するために、核武装する可能性はある。
この問題にトランプは、どう対応するのか。強硬策一本槍では上手くいかないのではないか。
アメリカ外交は今後どのように展開するのか。心配である。