逮捕状を請求したカーン主任検察官にセクハラ疑惑
逮捕状を請求したのは、ICCのカリム・カーン主任検察官(54)だ。カーン氏は、ICCが昨年3月に発行したロシアのプーチン大統領らに対する逮捕状を請求した人物でもある。容疑はウクライナ侵攻に関する戦争犯罪だ。プーチン氏、およびネタニヤフ氏の逮捕は現実的とは見られていない。それでも、ICCに加盟する124の国と地域には、建前上とはいえ容疑者を拘束する義務が生じる。
現状、イスラエルやロシアとの外交関係によって加盟各国の対応は分かれている。一部には明確に身柄の拘束に協力するとしている国もあり、ネタニヤフ氏に渡航の制限が課される可能性もある。子供や女性、高齢者など、社会的弱者に対するネタニヤフ政権の非人道ぶりへの反発は強く、逮捕状が請求された5月にはICCの動きを歓迎する向きも少なくなかった。
しかし、実はこの請求がなされた数週間前、カーン氏にはICC内でセクハラの疑いが明るみになっていたという。
調査報道に定評のある英ガーディアン紙が、この件を続けて詳報している。同紙は今年10月末、被害を訴えた女性の友人や、ICCの現職、及び元職員ら複数の証言に基づき、セクハラ疑惑の経緯を事細かに伝えた。
報道をまとめると、被害に遭ったとされているのはカーン氏直属の部下だった30代の女性弁護士だ。この女性は2023年4月からの1年間で、ICC本部内のカーン氏のオフィスや、カーン氏と出張の際、ホテルの部屋などで、無理やり触られるといったセクハラ行為を複数回受けたという。
しかし奇妙なことが起きた。