左から、名城大の米田勝朗監督、米澤奈々香、 谷本七星、東洋大の梅崎蓮、石田洸介、酒井俊幸監督 写真提供/ナイキジャパン

(スポーツライター:酒井 政人)

名城大の谷本と米澤が着用するシューズ

 紅葉に染まる軽井沢で「NIKE RUNNING MEDIA CAMP 2024」が開催された。ナイキプロダクトの説明、NRCコーチによるランニングセッション、ミニ駅伝などを堪能したが、スペシャルゲストとして登場した東洋大と名城大の監督・選手のトークセッションが面白かった。そのなかでひとつのテーマになったのがシューズの「履き分け」だ。選手たちは、トレーニングでどんなシューズを着用しているのか。

 昨年の全日本大学女子駅伝で7連覇を達成した名城大。主将の谷本七星(4年)とエース的な存在である米澤奈々香(3年)はレース時で着用するモデルが異なっている。

 谷本は駅伝などのレース時は前足部にエアが搭載されている『アルファフライ』だが、米澤は『ヴェイパーフライ』を履いているのだ。

 ジョグはともに『ペガサス』が中心で、谷本は『ペガサス プラス』も併用している。

「ジョグは最も基礎的な練習になるんですけど、練習状況や体調に応じて、キロ6分から速くてキロ4分を切るぐらいのペースで行います。集団走は少し速くなることが多いですね。そのなかでクッション性を意識したいときは『ペガサス プラス』を履いています」(谷本)

「名城大はトラック、ロード、人工芝で練習するんですけど、ケガを予防する意味でもクッション性のある『ペガサス』がいいなと思って愛用しています。反発力があるので、速いジョグで意識的に動きを変えられるのも好きな部分です」(米澤)

 ポイント練習はともにレースと同じモデルを使用することが多いようだ。なおトラックシーズンのスピード練習はともにスパイクの『ドラゴンフライ』を着用している。

「ペース走はより実践的なレースをイメージした練習になるので、フォームもジョグと変わってきますし、レース時と同じ『アルファフライ』を履いています。スピード練習もレースをイメージしているので、トラックシーズンは『ドラゴンフライ』でピンがトラックに引っかかる感覚を養い、駅伝シーズンは『アルファフライ』の反発を太腿裏やお尻など大きな筋肉で受けて、推進力に変えることを意識しています」(谷本)

「駅伝シーズンの1カ月前くらいからペース走とスピード練習は『ヴェイパーフライ』を履いています。練習時からレースの感覚を磨くことで、本番でも生かされると考えているからです。私は『アルファフライ』も試したんですけど、反発力が凄くあるため、自分の動きではちょっときつさが出るように感じたので、しっくりきた『ヴェイパーフライ』を履いています。あとレースでは『軽さ』も自分のなかで大きな要素です」(米澤)

 ナイキは『アルファフライ』と『ヴェイパーフライ』がレーシングシューズの最上位モデルになるが、選手たちは自分の感覚にフィットする方を選んでいるようだ。

 なお名城大は2日間連続でポイント練習するときは、1日目に400m×10本のインターバル、翌日に12000mのペース走などを行うという。そのペースもかなり速い。

「30年前、日体大でコーチをしていましたけど、当時は男子がキロ4分00秒で16~30kmをやっていたんですよ。いまは女子がキロ3分45秒で10000~16000mぐらいを走るんです。シューズの性能が良くなり、練習のペースはかなり上がっています」(名城大・米田勝朗監督)

 また東洋大・酒井俊幸監督は、「距離走は3分30~40秒ぐらいで、ペース走は3分20秒ぐらいからです。姿勢が大切なので、ペース走もレース用シューズを履いて、その動きを定着させることを意識させています」と話していた。