ふるさと納税に焦りは禁物(写真:elutas/イメージマート)

結婚、出産、離婚、子どもの受験、親の介護…。人生100年時代に直面する様々なライフイベントを乗り越えていくために必要なのが「お金」です。ただ、日々の生活に追われていると、いざという時のための「マネープラン」を考えていないケースがほとんどではないでしょうか。
Money&You取締役でファイナンシャルプランナーの高山一恵氏のもとに寄せられた相談事例を通じてマネープランを考えていく連載「人生100年のマネー相談」。今回は、40代会社員の方のふるさと納税の落とし穴にはまってしまった事例をお話します。

(高山 一恵:Money&You取締役、ファイナンシャルプランナー)

(注:相談者のプライバシーに配慮して、事実関係の一部を変更しています。あらかじめご了承ください)

 年末が近づいてくると、駆け込みで「ふるさと納税」をする方も多いと思います。しかし、焦るとろくなことがありません。知らないうちにふるさと納税の控除上限額を超えて寄附してしまい、結果的に損をしてしまうケースもあるので要注意です。

地方の特産品は返礼品で人気だ(写真:YATA/イメージマート)

 40代の会社員D男さんは、パート勤務の奥様と中学生の息子さんの3人家族。家計の見直しをするために相談にいらしたのですが、その際に「ふるさと納税」の話題になりました。

 毎年控除上限額いっぱいまでふるさと納税をしているというD男さん。お話を伺っているうちに、どうやらふるさと納税の落とし穴にはまってしまったことが判明しました。

ふるさと納税の寄付金総額は1兆円を超えている(出所:共同通信社)
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ふるさと納税の仕組みをおさらい

 D男さんの奥様が「ふるさと納税は、控除上限額がありますよね? 最近、本で勉強したところ、『住民税決定通知書』を確認すれば、ふるさと納税の控除額がわかると書いてあったので、昨年の主人の住民税決定通知書を確認してみたところ、どうやら昨年は控除上限額を超えてしまったようなのです…。でも、ちゃんと、ふるさと納税のポータルサイトでシミュレーションしています。結局、何が正しいのか確信を持てなくて…」とのこと。

 以前にも「住民税決定通知書」をきっかけにふるさと納税の控除上限額を超えていることを発見した例があったので、今回もイヤな予感がしました。

 まずは本題に入る前に、ふるさと納税の仕組みについておさらいしておきましょう。