40年ぶりの再会でヒガシと話したこと

──それまでのタレントのキャリアを一旦脇に置いて社長になることは、東山氏にとっては辛い判断だったように思います。

平本:必ずしもそんなことはないと思います。一介のジュニアから始まった彼のキャリアで最終的に社長までいけたのだから。おそらく相当な報酬だって受け取っているでしょう。

 そして、性被害者という目で世間から見られるのではなく、加害者の上に立って代わりに謝罪することで、この問題において、いい意味で自分の立場と印象を作ることもできる。会社の代わりに矢面に立って謝罪をすれば同情だって得られる。数年後に、タレント業に復帰したっておかしくない。

 昨年5月に、マッチ(近藤真彦)が「知ってた、知らなかったじゃなくて、もう知ってるでしょ......」と発言をした時に、今後どこまで告発が広がっていくのかとジャニーズ関係者は戦々恐々として、それまでとはレベルの違う本当の対応をしないわけにはいかないと思った。そういうことを全部考慮して、ヒガシはあのポストについたのだと思います。

──ジュリー氏や東山氏と久しぶりに再会した時、どんなやり取りがあったのですか?

平本:ヒガシとは同い年で、一緒にジュニアをやっていたから、40年ぶりの再会でした。「久しぶり」という一言で始まり、いろんな話をしましたよ。

 ジュリーさんには「ご無沙汰です」「この長い人生の中で一番会いたかった人です」と伝えました。そうしたら「そうですか、時間がかかってすみません」とおっしゃっていた。「今回は、いろいろ認めて下さってありがとうございます」と言いながら、お互い何度も会釈しました。

 こちらの言い分もよく理解してくれたし、否定し合うようなこともありませんでした。それ以降も、対話のできる関係を続けてきました。「よく会ってくれたな」という気持ちはあるし、お互いに「まさかこんな形で再開するとは」という気持ちがあります。

 僕は35年前からジャニーズの性加害に関して発言・発信してきたし、その関係でヒガシやジュリーさんに関して厳しいことも言ったり書いたりしてきた。そういう相手と再会するのは、先方も複雑な気持ちがあったと思うよ。だから、再会した時に「本で、いろんな余計なこと書いて、すみませんでした」と謝りましたよ(笑)。

 確かにいろんなことを書いてきたけれど、あの手この手を使って35年間、ジャニーズの性加害問題について語る努力を続けてきました。他に語る人もいなくなったから、灯を絶やしてはいけないと思ってやってきた。

 この間、いろいろな誹謗中傷を受け続けましたよ。「殺す」「沈める」なんて何十回も言われて、一時はボディガードまで雇いました。でも、そういうことがBBCの報道につながって。BBCが来た時も、取材先の紹介から情報提供、自分の証言・出演まで、かなりお手伝いしました。とにかく35年間、嫌われながらも頑張ってきました。