兵庫県庁での就任式で、花束を受け取る斎藤元彦知事(右)=19日午前(写真:共同通信社)兵庫県庁での就任式で、花束を受け取る斎藤元彦知事(右)=19日午前(写真:共同通信社)
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(西田 亮介:日本大学危機管理学部教授、社会学者)

>>「新聞・テレビはなぜ「役に立たない」と見なされるのか?選挙期間中にこそ高まる政治への関心、なのに報道は抑制的に」から続く

「政治的公平性」定めた放送法は改正が必要か?

 改めて、選挙報道はどうあるべきなのか。来年も参院選や東京都議選などが控えている。

「放送法を見直すべきだ」という声が根強いようだが、筆者の考えでは放送法、おそらくは政治的公平性を定めた第4条の見直し(削除)は却って悪手だ。

(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。(放送法第4条より引用)

 アメリカは1987年に日本の放送法第4条と似た公正原則を撤廃した。現在のようなそれぞれ党派性を強く帯び、相互参照されることの少ないメディア状況になってしまった。同じ途を歩んでしまいかねない。

 むしろ運用の改善、とくに報道表現の試行錯誤と創意工夫活発化と公職選挙法の再検討が重要ではないか。