ビル・ゲイツのテラパワーは345メガワットの原子炉
「例えばビル・ゲイツのテラパワーは345メガワットの原子炉だ。アマゾンが投資したSMRは4基で計320メガワット。1~2年前には現在のような電力需要の大幅な伸びは予想されていなかったので、AP1000のような大型加圧水型原子炉の話も増えている」とコテック氏は話した。
米国は原子力発電容量を3倍にするため、既存の約100ギガワットに加え、200ギガワットの発電容量を追加することを目指す。先進的なSMRのほか既存原発の運転延長、スリーマイル島原発のように廃炉の再稼働に取り組む。SMRの開発と配備を加速させるカギは規制緩和だ。
しかし過去10年で、新たに加わった原子炉はわずか3基。同じ期間に停止した原子炉の数は3倍以上の10基だ。コストが高く先行投資が必要であること、放射能廃棄物の処理が大変であること、市民の容認や政治的支持がさまざまであることなど、多くの課題が残されている。
【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。