「50年までに20年比で世界全体の原子力発電容量を3倍」

 COP28では日本を含む22カ国が「50年までに20年比で世界全体の原子力発電容量を3倍にする」との野心的な目標に向けた共同宣言を発表した。その後3カ国、COP29でさらに6カ国が参加し、賛同国は31カ国となっている。

 COPの合意文書で原子力が気候変動の解決策として明記されたのは初めて。スリーマイル島、チョルノービリ(チェルノブイリ)、福島と続いた原発事故の影響で世界中の環境団体、市民団体が集うCOPで原発に向けられる目は厳しかった。しかし反原発の空気は一変した。

世界原子力協会のサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長(筆者撮影)
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  世界原子力協会(WNA)のサマ・ビルバオ・イ・レオン事務局長は「原子力はテクノロジー企業の関心と投資を惹きつけている。エネルギー安全保障、信頼できる供給と価格、気候変動への対応という要求に対する答えが原子力にあることを市民は認識し、支持している」と胸を張る。

 米シンクタンク、ピュー研究所が5月に行った調査によると、米国の成人の56%が原発の増設に賛成と答えている。この割合は昨年から変わっていない。もちろん原子力よりも安価で安全な太陽光発電78%や風力発電72%の拡大を支持する傾向は依然として強い。