時代を超えて愛される平安文学

 展覧会では現代の截金ガラス作家・山本茜による「源氏物語シリーズ」も特別陳列。「中学2年の時に古典の授業で『源氏物語』に出会い、“いずれのおほんときにか~”で始まる文章の美しさに夢中になった。現在は『源氏物語』54帖の各帖から得たイメージを造形化する源氏物語シリーズに取り組んでいて、これまでに22帖を制作。生きているうちに(笑)、54帖を完成させたいんです」と山本さん。

「平安文学、いとをかし―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ」展示風景。山本茜 源氏物語シリーズ 第三帖《空蝉》2019年 個人蔵

 制作には透明なガラスの中に截金を封じ込める「截金ガラス」という独自の技法が用いられ、完成した作品は大英博物館に収蔵されるなど、高い評価を受けている。会場では制作の工程を撮り下ろした映像も公開。息をのんで見守りたくなるような細やかな手仕事に見入ってしまうばかり。

 時代を超えて人々を夢中にする『源氏物語』、そして平安文学。NHK大河ドラマはまもなく最終回を迎えるが、その“いとをかし”な王朝美の世界はこれからも輝き続けるのだろう。

 

「平安文学、いとをかし―国宝「源氏物語関屋澪標図屏風」と王朝美のあゆみ」
会期:開催中~2025年1月13日(月・祝)
会場:静嘉堂@丸の内
開館時間:10:00~17:00(土曜日は〜18:00、第3水曜日は〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(1月13日は開館)、12月28日~1月1日
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)

https://www.seikado.or.jp/