当初は本命と見られた稲村和美はネットでデマ被害や妨害受ける

 一方、当初は本命と見られた元尼崎市長の稲村和美は複数の政党や団体、議員や首長らの支援を受け、「無所属市民派」でありながら組織頼みの戦いとなった。

 ただ、思ったほどに組織が機能しなかったと言われ、SNSなどのネット戦略にも弱かった。Xでは稲村について「外国人参政権に賛成している」などのデマが流され、応援アカウントが大量通報によって凍結されるなどの妨害も受けた。

 ネット動画やSNSを駆使した選挙戦といえば、先の東京都知事選で次点と健闘した石丸伸二が記憶に新しいが、今回の兵庫県知事選では「孤立無援」だった斎藤を当選させるまでに威力を発揮した。

 マスメディアが取材と確認を重ねて送り出す事実よりも、個人にとっての「真実」を集めたストーリーの方が影響力を持つ——。そんな時代が本当に望ましいのだろうか。