トランプ、最後まで国務長官人事で迷う

 国務長官、NSC補佐官の人選経過は虚々実々だ。

 トランプ側近筋によると、トランプ氏は11月11日午前の段階では国務長官にリチャード・グレネル元国家情報長官代行に決めていたらしい。

 しかし、午後になってルビオ氏に差し替えたという。

 親トランプのグレネル氏が国務省を目の敵にしていることに、同省のキャリアは戦々恐々。こうした情報がトランプ氏の耳に入ったのかどうか。

 そこへ行くと、ルビオ氏は2016年の大統領選に出馬、選挙キャンペーンの際には「私が経営するちっぽけな会社ですらトランプのような人間は雇わない。彼ほど過大評価されている政治家はいない」とまで言っていた政敵だ。

 だが、上院情報特別委員会や外交委員会のメンバーを長年務め、共和党でも外交国防問題の重鎮でもある。

 そのルビオ氏の起用は、「保守本流の伝統的な外交を継承する安全パイ」(共和党外交通)として不可欠だったのかもしれない。

 大統領首席補佐官に極めて常識派のスージー・ワイルズ氏を登用したこともそうだが、トランプ氏は第1期政権のような独断的な人事ではなく、バランスの取れたしたたかな人事に徹しているように思える。