それでも中国製EVへの関税引き上げは正しい

 安価な中国製EVが米国市場になだれ込めば、米国のEV産業は大打撃を受ける。労働者が辛酸を嘗めている時に脱炭素経済への移行で雇用創出が期待されるEV産業を失うことは米国の労働者の希望を絶つに等しい。「トランプ氏は偶然、正しい判断を下したのかもしれない」(同)

「とても前向きな気分にはなれないが、カリフォルニア州は人口4000万人で、米国で最も人口の多い州。世界第5の“経済大国”でもある。トランプ氏でもカリフォルニア州で起こる多くのことに影響を与えることはできない。4~5年後の望みが絶たれたわけではない」とベッサー氏は言う。

 環境保護団体「グリーンピース」中国首席代表、袁瑛氏は記者会見で「誰が米大統領になろうと気候変動が壊滅的な状況になりつつあることに変わりはない。中国は毎年、異常気象に見舞われている。北部では夏の気温が非常に高く、南部では洪水や暴風雨が発生している」と話した。

グリーンピース中国首席代表、袁瑛氏(筆者撮影)
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「気候危機から国民を守ることは中国の利益につながる。もう一つの側面として中国は毎日、ソーラーパネルや風力タービンを追加している。化石燃料から脱却し、気候変動への対応を通じて低炭素経済への移行を図ることは中国の利益でもある」と強調した。