イーロン・マスクは愚か者ではなく、ビジネスマン

 ベッサー氏は「トランプ氏は米国を再びパリ協定から離脱させる。彼は米国の気候外交を廃止する恐れがある。どちらも非常に悪いことだ。一方で彼にはできないこともたくさんある。電気自動車(EV)の普及を遅らせることはできても、後退させることはできない」という。

「気候センター」のバリー・ベッサーCOO(筆者撮影)
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 ジョー・バイデン米大統領はインフレ抑制法で気候変動対策に3690億ドルを投資した。「多くの共和党州知事やその地域社会がこの投資から恩恵を受けている。イデオロギー的に資金がどこから来たのか誰も気にしない。地域に恩恵があるのなら継続させたいと思うものだ」(ベッサー氏)

「トランプ氏は大統領選に勝ったら、EVメーカー、テスラ最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏を政権入りさせると言ってきた。私はマスク氏のファンではないが、彼がEVを促進させるのは間違いない。マスク氏は愚か者ではなく、ビジネスマンだ」(同)

 ベッサー氏によると、トランプ氏が中国製EVへの関税を大幅に引き上げるのは必至だ。トランプ氏はEVのファンではなかったが、マスク氏と親交を深め、7500万ドルもの献金を受けた今、その利益を守ろうとするだろう。中国に関税をかけることが政治的な勝利だと感じている。

イーロン・マスク氏はトランプ氏の支援団体に少なくとも180億円の献金を行ったとの報道もある。一方、トランプ氏の勝利から3日間で、テスラ株の高騰などにより、マスク氏の資産は約7.6兆円増えたという(写真:ロイター=共同)
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