幼い頃に自閉症と診断されたジェイソン。彼の生活には独自のルーティンとルールがあり、それらが守られないとパニックを起こしてしまう。自分の興味のあることはとことん知っているのに個性が強すぎるせいか、学校でも度々、トラブルを起こす。
全56チームの試合を見ないと気が済まない
ある日、クラスメイトから好きなサッカー・チームを聞かれたのに答えることができなかったジェイソンは“推しチーム”について、考え始める。彼らは「ゆりかごの中で好みが決まる」と生粋のサポーターであるのが当然のように話し、ジェイソンは訳がわからない。
祖父から「生まれた街のチームが好きになるという意味だ」と教えてもらうが、ジェイソンは「パパはデュッセルドルフ、ママはドルトムントだよ。生まれた街と関係ない。ただの偶然だ」と猛抗議。好きなチームを自分で決めたいと家族の前で宣言する。
両親は各々の好みのチームを推すが、物事を徹底的に理解しないと気が済まないジェイソンはブンデスリーガ1部、2部のみならず、3部までの全56チームを自分の目で見て、選びたいという。
こうして、それまでジェイソンのことを母に任せっきりで、働いてばかりだったパパとジェイソンのドイツ中のスタジアムを巡る週末の旅が始まった。