──もともと風呂重視の依頼だったんですね。
隈:そう。これは僕が『10宅論』で言おうとしていたこととぴったり同じだなと。それで、彼のオーダーそのままに「伊豆の風呂小屋」というタイトルで発表しました。
建築のデザインも、当時人気だったコンクリート打ち放しに対して、どれだけ逆をやれるかっていうことを考えました。そういう意味で風呂っていうのは僕にとっては反近代であり、モダニズムをさらにマッチョに進化させた「日本式モダニズム」に対する批判の拠点であったと思います。
──なるほど。運命的なお施主さんと出会って、風呂が実作への入り口になったんですね。
隈:「伊豆の風呂小屋」でデビューしたので、その前に篠原的な住宅とか安藤的な住宅を望む施主と出会っていたら、全く違う建築家になっていたのかもしれない(笑)。
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