同じ趣味を持つ者同士の「やさしい空間」
イベントに集まった人たちの年齢は10代前半から、30代と幅広い。1人、また1人と集まると挨拶をして、まずみんなでお互いの今日のファッションを褒めあう。これはおそらくルールなのだろう。「髪型素敵ね」「ネックレスかわいい」「そのヘッドドレスとっても似合ってる!」という具合だ。
ロリータ・ファッションをしていない筆者はファッションを褒める挨拶には参加できないが、皆快く受け入れてくれた。
ミラナは小さな帽子を斜めにかぶりたいようだが、ずり落ちてきてしまう。すると他の子が直すのを手伝ってくれる。「ピンで留めたらいいんじゃない? 私ピン持ってるよ」と他の子が貸そうとするが、ミラナは「帽子のひもにピンの跡をつけたくないの」と言う。相手の女の子は「分かる~、また直せばいいね」と答えていた。
驚くほどやさしい「女の子」の空間だった。もしかしたら「淑女」の空間と言ったほうが正しいのかもしれない。
参加者に「どのようにしてロリータ・ファッションが好きになったの?」と聞くと10代の子は「漫画やアニメなどをきっかけにしてはまった」という子が多かった。
20代の子は『下妻物語』のような映画を見たという。日本のビジュアル系バンドも大好きだそうだ。その子の彼氏も男性用のロリータ・ファッションを着ることがあると言う。彼女はNintendo DSを持ち歩いていた。インターネットで中古を探して買ったのだと言う。