日本経済は崩壊する!?

 経済被害も深刻です。工場や店舗の被災、道路や鉄道網の寸断、空港・港湾の損傷、ライフライン(上下水道・電力・都市ガス・通信)の被害などはすべて経済活動の中断や低下に直結します。人的被害は労働人口の減少につながり、行方不明者の捜索や救援活動も生産やサービスの低下の原因となります。

 2019年に内閣府が発表した想定では、南海トラフ地震による経済被害は最大233.8兆円。これは日本のGDP596.5兆円(2023年度)の約39%に当たります。まさに日本経済が崩壊するレベルです。しかも、甚大な被害を受けた社会インフラを修復・再建するのには時間がかかり、10年か20年か、それ以上かけても日本経済は地震前の水準にはもどらない可能性があります。土木工学の研究グループは、南海トラフ地震の発生から20年間で被る経済損失は1048兆円に上ると試算しています。

表2 南海トラフ地震による経済被害
全国的な影響による経済被害は、復旧までの期間を、道路・鉄道は半年、港湾は1年として計算
データの出典:「南海トラフ巨大地震の被害想定について(経済的な被害)」令和元年6月 内閣府政策統括官(防災担当)

(編集協力:春燈社 小西眞由美)