ハリス氏のお膝元、米有力紙LAタイムズがハリス推薦を断念
マスク氏と親しい中国系オーナーが拒絶、激怒した論説委員長は辞任
2024.10.26(土)
高濱 賛
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LAタイムズの救い主はマスクの友人?
販売収入、広告収入の減少は続き、経営難に陥り、6年前、南アフリカ生まれの億万長者スン・シオン氏が5億ドルで買収、現在に至っている。
同氏は、カナダ経由でカリフォルニア州に移住。南ア出身ということで、テスラの経営者で億万長者のイーロン・マスク氏とは親しい関係にあるとされる。
(今回、ハリス氏を推薦しようとした論説委員会に待ったをかけたのも、トランプ支援を続けるマスク氏の影響を受けたのではないか、といった憶測も出ている)
同氏は、医学博士を取得したのち大学病院で糖尿病やがん治療薬を開発、その特許権で巨額の利益を上げている。資産は78億ドルに上っている。
メディアには全くの素人だが、「新聞は知的良心を守るために不可欠だ」という使命感でロサンゼルス・タイムズを買収したという。
(Los Angeles Times editorials editor resigns after owner blocks presidential endorsement - Columbia Journalism Review )
スン・シオン氏の今回の決定、ガーザ論説委員長の辞任、と揺れるロサンゼルス・タイムズの編集者、記者たちは騒然としている。
トランプ氏は、このニュースが流れるや「ハリス氏のお膝元であるカリフォルニア最大の新聞がハリス推薦を取りやめた。これはハリス氏を吹き飛ばす新たな突風だ」と小躍りしている。
一方、スン・シオン氏の友人、マスク氏は自らが所有する「X」に「Make Sense」(ごもっとも)と一言、コメントしている。
現時点でハリスを推薦した大・中堅新聞はニューヨーク・タイムズ、ボストン・グローブ、シアトル・タイムズなど80紙。
一方、トランプ氏を推薦したのはニューヨーク・ポスト、ワシントン・タイムズなど10紙。
(Far fewer newspapers are endorsing Harris than backed Clinton or Biden | Fox News)
最終ラウンドでトランプ氏としのぎを削るハリス氏にとって、民主党候補推薦メディアの常連*1だったロサンゼルス・タイムズの「脱落」がどう響くのか、こればかりは分からない。
*1=同紙は2008年のバラク・オバマ氏推薦以降、2016年はヒラリー・クリントン氏、2020年にはジョー・バイデン氏を推薦している。
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