候補者を推薦しないのはトランプ支持と同じ

 ところがガーザ論説委員長の見解は全く異なっていた。

 同氏は直ちにメディア界のご意見番的存在の「コロンビア・ジャーナリズム・レビュー」(ピューリッツアー賞受賞者を選ぶコロンビア大学ジャーナリズム大学院発行)とのインタビューでこうぶちまけた。

「スン・シオン氏は、ハリス氏を大統領候補に推薦するという論説委員会の決定をブロックした。私は即座に辞表をテリー・タン編集主幹に出した」

「私は、候補者を推薦せずに沈黙するという決定には納得できないからだ。この危険な状況下で正直者は立ち上がる必要がある」

「私はロサンゼルス・タイムズの論説担当の責任者を辞めることで立ち上がった。ロサンゼルス・タイムズはリベラルな新聞である。読者の大半はハリス氏を支持している」

「今こそ、我々は良識を示す時だ。これまで社説ではトランプ氏がいかに危険な人物かを論じてきた。トランプ氏が民主主義にとって危険であると論じてきた」

「こうした主張を踏まえた次のロジカルなステップは、ハリス氏を推薦することにあるのは明白だ」

「今、候補者を誰にするのかを鮮明にせずに沈黙を守ることは、危険人物に加担する共犯ですらある」

 ロサンゼルス・タイムズ労働組合は、ニューヨーク・タイムズの取材に、こうコメントしている。

オーナーは『ハリス氏を推薦しなかった理由は論説委員会が白紙の提案をしてきたからで、私はそれを受け入れただけだ』と言っているが、これは事実に反する。その経緯に重大関心を持っている」