今回明らかになったのは、職場いじめを訴えるハニさんとADORの新代表との間に、信頼関係が全くないことです。

 韓国マスコミは、ハニさんが新代表に向けて見せた鋭い眼差しを大きく取り上げています。「職場いじめを受けたのに何もしてくれなかったではないか」と訴えた場面です。

単なる「職場いじめ」にとどまらない「人権侵害」「国際問題」

 ここまで、日本メディアの報道にならって「職場いじめ」と書いてきましたが、韓国では「アーティストの人権保護」の観点から議論されています。つまり、夢を叶えるために韓国に来た、わずか20歳のベトナム系オーストラリア人であるハニさんが、韓国の会社で人権侵害を受けたという問題なのです。これは韓国社会にとどまらない、世界的なアーティストであるNewJeansが関わる国際問題でもあると受け止められています。

 ハニさんは日本でも話題となった「青いサンゴ礁」を歌った時のように、笑顔が魅力的なメンバーです。その彼女が睨んだような目つきで新代表を見つめたことは、メンバーと新代表の間にある大きな溝を物語っていると思われます。

 メンバーはミン・ヒジン氏(ADOR前代表でNewJeansの生みの親)が代表を解任された後に行われたライブでも、ミン氏を「代表」と呼び続けたり、告発したYouTubeでも、ミン氏を代表に戻すように訴えています。今回明らかになったのは、メンバー5人の意思統一はなされていて、ミン氏側に立っているということです。

 これまでのK-POPの事務所問題をみると、日本でも人気のあった東方神起やKARAなどはメンバー間の意思統一がされず、一部が脱退して他のグループを作ったり、新たなメンバーを加えたりしました。NewJeansの場合は、そういうことはなさそうです。5人とミン氏は固い結束で結ばれています。ファンである筆者としては、その点はひとまず安堵しているところです。