ガストロノミーツーリズムの夜明け

 また浜田氏は、米国のレストランジャーナリストとして有名なアンソニー・ボーデイン氏の次の発言も紹介している。

「If I had to eat only in one city for the rest of my life, Tokyo would be it」(もし残りの人生で、1つの街でしか食事ができないとしたら、東京を選ぶ)

 近年、日本は貧しくなったといわれる。

 半導体や家電など、かつて日本を象徴したコンテンツが世界各国から追い上げられ、抜き去られていった経緯を見ると、残念ながらそう考えざるを得ないところはある。

 だがそのなかで、「食」が日本が世界に誇る最強のコンテンツになっていることは、これまでの説明でお分かりだろう。

レヴォのレストラン

 しかも前述のアメックスの調査によると、今後の訪日旅行で訪問したいエリアで地方を選択した国外旅行者は、東アジア・東南アジア地域で8割以上。

 欧米豪・インド・中東地域でも大半の市場で5~7割となっている。世界のインバウンドは地方の食に注目しているのだ。

 食を中心にして旅行者を呼び寄せる観光を「ガストロノミーツーリズム」という。

 観光庁もここ数年、熱心に旗振りをしているが、私はこのガストロノミーツーリズムが日本、なかでも地方創生の大いなる武器になると思っている。

 私は前述の「クローズアップ現代」に出演し、食が地方創生のキーコンテンツになることを話した。

 次回以降は、その方法について具体的に取り上げたいと思う。