2022年6月、ニューヨーク・マンハッタンのヘルズキッチンで買い物を楽しむ小室圭さん・眞子さん夫妻(写真:Dylan Travis/ABACA/共同通信イメージズ)
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 かつて、「エッグ・キング」と称された男は意外な夫妻の後ろ盾だった。

 米ニューヨークに渡った小室眞子さん(32)、圭さん(32)夫妻は、鶏卵大手「イセ食品」(現・たまご&カンパニー)の創業者、伊勢彦信元会長(95)から地元の有力者を紹介されたりと、なにかと面倒を見てもらっていた。2023年11月には、『週刊文春』で、小室夫妻とノーベル賞受賞者で気象学者の真鍋淑郎氏、「ベニハナ・オブ・トーキョー」の青木恵子元CEOらがニューヨーク郊外のイタリアンで会食する様子が報じられている。その会食をセッティングしたのが、ほかでもない伊勢元会長だった。

 さらに、眞子さんが一時、インターンをしていたメトロポリタン美術館における日本美術部門の責任者に、伊勢元会長が「眞子さんを日本美術部門の部長にしてほしい」と持ちかけたこともあったとか。

 実は、その小室夫妻の後ろ盾である伊勢元会長は、目下、“詐欺師”に5億円を騙し取られた挙げ句、現在の住まいである東京・六本木のマンションから追い出されかねない窮地に立たされている。

世界的なアートコレクター

『森のたまご』『伊勢の卵』ブランドで知られるイセ食品の創業は、1912年。1979年には、国内最大の販売量を誇る鶏卵業者ナンバーワンの地位に就いた。その勢いのまま、米国に進出すると、米国でもトップクラスの規模で事業を展開し、ピーク時の18年1月期には年間売上高が470億円に達している。

 伊勢元会長は、その儲けを惜しみなく美術品に注ぎ込み、印象派をはじめとする西洋美術、中国や韓国の陶磁器、日本の茶道具や琳派の絵画などの世界的なコレクターとして名を馳せた。所蔵する美術品は「イセコレクション」と呼ばれ、伊勢元会長は「卵でピカソを買った男」との異名を持つほどだった。

伊勢彦信氏
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 我が世の春を謳歌していた伊勢元会長に暗雲が垂れ込めてきたのは、22年3月のこと。

 伊勢元会長の長男である俊太郎元社長と債権者であるあおぞら銀行が、東京地裁にイセ食品とグループの飼料販売「イセ」の更生手続きを申し立てたのだ。負債総額は453億円とされる。

 その結果、伊勢元会長は経営の一線から完全に排除されたうえ、今年1月には伊勢元会長自身の破産手続きも開始された。「エッグ・キング」は地に落ちたのである。

「山階鳥類研究所」の総裁を務められている、秋篠宮文仁親王は、鶏の研究をご専門にされている。伊勢元会長は長らく、研究のサポート役だった。その縁から、小室夫妻の後ろ盾にもなったわけだが、実は、眞子さんがメトロポリタン美術館に就職できたら、イセコレクションの一部を寄付することを申し出ていたそうだ。結局、それも立ち消えになってしまった。