中国と台湾の「両岸関係」が、再び揺れている。荒れている。10月14日月曜日、日本は3連休の最終日だったが、中国人民解放軍が「聯合利剣―2024B」と呼ぶ軍事演習を行ったのだ。こうした人民解放軍の演習は、頼清徳総統が就任した今年5月以来のことだ。
今回は1日限りの演習だったが(5月は2日間)、中国国防部の発表によれば、台湾の周囲6カ所を取り囲むようにして行った。
一方、台湾国防部の発表によれば、演習には戦闘機やヘリコプター、無人機も含めて125機が参加し、うち90機が台湾の領域に侵入してきたという。さらに台湾本島の東部海域には、空母「遼寧」まで繰り出し、艦載機を出撃させた。すっかり「選挙モード」に突入している日本も、石破茂首相が緊急のコメントを出したりして、大わらわだった。
「武力統一はリスキー」
この突然の軍事演習を、どう捉えたらよいのだろう? 私は最近の両岸関係について、一つの仮説を立てている。それは、以下のようなものだ。
習近平中央軍事委員会主席(軍トップ)は、「盟友」のウラジーミル・プーチン大統領がウクライナで展開しているような戦争を、台湾との間でおっ始めたくない。当然ながら台湾は統一したいが、「武統」(ウートン=武力統一)は自己の政権を疲弊させ、あまりにリスキーだと考えているのだ。
ところが人民解放軍の強硬な幹部たちは、「習近平強軍思想」を前面に掲げて、イケイケドンドンである。「台湾など3日で陥落させられる」「いざ有事になればアメリカ軍も腰を抜かして出て来られまい」などと豪語している退役将校もいるほどだ。