井上尚弥選手と同じ「スーパーバンタム級でいける」

 この日の会見でも、まだ階級すら違う井上選手との将来的な対戦に関する質問が出た。

 中谷選手は「階級が違うので、まだ挑戦するとかそういう形ではない」と慎重に言葉を選んだ上で、「そうはいっても、1階級の差で。僕の体のポテンシャルでみても、スーパーバンタム級でいけると思っている。そういう意味では階級が近くてそういう声もいただけて、(対戦を)具体的ではないですけど、イメージすることもあります」と将来に含みを持たせた。

強さも人気も圧倒的な「モンスター」井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)

 実際、15歳から指導を受けるルディ・エルナンデス・トレーナーからも練習時に、井上選手の名前を出してアドバイスを受ける機会が増えているという。

 激戦必至のバンタム、そして、モンスターとの将来的な対戦というビッグ・ドリームが、中谷選手の知名度を押し上げていくはずだ。井上選手を中心に、世界の注目を集める日本のボクシング軽量級。その中で、拳で強さを磨き、「興行の壁」を突き破った先に、“ネクスト・モンスター”の輝かしい未来が待っている。

田中 充(たなか・みつる) 尚美学園大学スポーツマネジメント学部准教授
1978年京都府生まれ。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科修士課程を修了。産経新聞社を経て現職。専門はスポーツメディア論。プロ野球や米大リーグ、フィギュアスケートなどを取材し、子どもたちのスポーツ環境に関する報道もライフワーク。著書に「羽生結弦の肖像」(山と渓谷社)、共著に「スポーツをしない子どもたち」(扶桑社新書)など。