「ハニワと土偶の近代」展示風景 NHK「おーい!はに丸」1983-1989年放送(左)ひんべえ(右)はに丸 1983年 劇団カッパ座

(ライター、構成作家:川岸 徹)

今やすっかり人気キャラクターとなったハニワと土偶が、近代美術史のなかでどのような捉え方をされてきたのか。展覧会「ハニワと土偶の近代」が東京国立近代美術館で開幕した。

人気キャラ化した古代遺物

 古の地層から出土するハニワと土偶は、太古のロマンに加え、見た目のゆるさ、可愛さ、ユニークさもあって、日本美術史を代表する人気者になった。芸術家たちはハニワや土偶の独特な美に魅せられ、古代遺物をモチーフに作品を制作。NHKの教育番組「おーい!はに丸」に登場したハニワの王子「はに丸」のように、長く親しまれ続ける人気キャラもいる。

 土偶とハニワは混同されることもあるが、土偶は「縄文時代に作られたヒト形の人形」、ハニワは「古墳時代に権力者の墳墓に並べられるために作られたやきもの」。弥生時代には土偶やハニワのような土製の人形はほとんどなく、土偶とハニワの製作時期には数百年以上の開きがある。

 東京国立近代美術館で開幕した「ハニワと土偶の近代」展では、土偶とハニワが日本の近代史のなかで、どのように扱われてきたのかを検証。とはいえ、本物のハニワと土偶を見せる展覧会ではない。ハニワと土偶が日本近代史のその時々において、どんな役割を担わされ、どうしてブームとなったかを探っていく、いわば「イメージの変遷」をテーマにした展覧会だ。実際、展示されている本物のハニワは2体のみ、土偶は1体も出展されていない。

 それでも、この展覧会はおもしろい。ハニワと土偶が激動の時代に辿った運命が丁寧に解説されており、知らなかった事実に次々と出くわす。歴史ファン、特に近代史好きには見ごたえのある展覧会といえるだろう。