あえて心理的に「未完了」の状態を作る

■STEP1 「キリのいいところ」を見定める

 まず、費やせる時間と作業プロセスを勘案して、通常であれば、このあたりで区切ると「キリがいいよね」という中間目標を見定めます。

 キリのいいところ(中間目標)を定めることで進捗が測れ、達成意欲もわくというメリットもあります。もし見事に計画通りとなれば、心理的に「完了」状態が生まれやすく、一方で計画未達成になると「未完了」状態を生みやすくもなります。

■STEP2 意図的に心理的「未完了」状態をつくって、休憩に入る

 STEP1で定めたキリのいいところ(中間目標)に対し、あえてその一歩手前の中途半端なところで作業を終えて、「着手中」の状態で休憩に入るようにします。休憩中も中断した作業のことがなんとなく頭の隅にあって、常に気にしているような状態にしておくことで、再開した時の起動時間を短くすることができます。

 心理的「未完了」状態を意図的につくり出すにはどうすればいいのか。以下にポイントを示します。

 どちらにしても、あえて中途半端なところで作業を終えて、「着手中」の状態で休憩に入るようにします。休憩中も中断した作業のことがなんとなく気になっている状態をつくり出すのがポイントです。(続く)

森琢也(もり・たくや)
株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役。中小企業診断士

 2007年明治大学商学部卒後、トヨタグループの大手自動車部品会社(デンソー)に入社。配属された経営企画部署では、製造現場でのトヨタ生産方式の浸透、グループ会社支援など数千億円ビジネスの全体像を学ぶ。事業企画に異動後は、採算改善プロジェクトのリーダーとして、世界5拠点で生産する新製品の採算V字回復などに携わる。
 約10年の勤務後、リクルートマネジメントソリューションズに転職し、研修講師の採用・育成を担当。トヨタグループでの経験を活かして、コストと工数を大幅に削減しつつ、3年間で延べ8000人を超える40代以上ハイクラス人材を選考した。
 2020年に独立後は経営コンサル事業にて、中小企業向け事業計画作成・実行支援を行い、補助金獲得総額5億円超、採択率90%以上を達成。また、研修事業では、大企業からの直接受注を中心に累計100社以上、参加者数6000人以上に研修を実施。複数の仕事(事業)を同時に取り組んできた経験も踏まえ、組織や個人の仕事の生産性向上を支援している。