生成AIやデジタル機能の進化、ペーパーレスによって仕事にかける労力は軽減されるはずなのに、なぜかタスクが終わらない……。そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは、多いのではないでしょうか。トヨタグループのデンソーで徹底的に仕事の「ムダ」を減らし、「成果」を最大化する仕事術を学んだ森琢也氏によるカイゼン術の5回目。
※本記事は『トヨタで学んだハイブリッド仕事術』(森琢也著、青春出版社)の一部を抜粋・再編集したものです
(森琢也:株式会社クック・ビジネスラボ代表取締役、中小企業診断士)
「水平質問」→「垂直質問」で問題の核心に迫る
仕事上で何か問題が起きれば、普通はその原因を究明するために社内の関係部署や取引先に状況の確認や調査のため、ヒアリングに出向くことがあります。
その際、トラブル発生に慌ててしまい、勢い込んで脈絡なく質問を繰り広げたり、ついつい相手の言い分を鵜呑みにしてしまい、肝心なことを確認しそびれてしまったりして、本来の「聴き取る」という目的が果たせなかった、という経験はありませんか。
往々にして、トラブル対応のヒアリング等では、ポイントを絞り込めずに話が散らかったまま時間切れになってしまいがちです。せっかくヒアリングの場を設定したのに、核心には迫れず、目的も果たせず、となってしまっては、厳しい見方をすれば時間のムダとも言えます。
どうすれば効果的にヒアリングができるのでしょうか。
■STEP1 質問を水平方向(ヨコ)に広げて、話題やトピック、選択の幅を広げる
どこかの遊園地やテーマパークでのアトラクションで「宝探し」のゲームをする場面を思い浮かべてみましょう。当てずっぽうに探し回ったり、根拠もないのに「この付近だ」と決めたところだけを探したりということはしませんよね。
まずは宝が隠されているエリアを把握するために地図を広げ、ヒントなどを参考に宝の埋蔵ポイントをいくつかに絞り込んで、そこからさらに「ここだっ!」と思える場所をピンポイントで探すでしょう。
ヒアリングもそれと同じです。質問を水平方向(ヨコ)に展開することで、話題やテーマを並べていきます。宝探しで言えば、地図を広げて埋蔵ポイントがどのあたりにあるのかを確認する作業です。
人は、常に重要性の高いものから発案できるとは限りません。私が経営者の方にその企業の強みや経営課題をヒアリングする際も、一番に出てきた内容が最重要項目かというと、そうでない場合が多いものです。
場合によっては、4つ5つと話していただき、「あ、ここがポイントだよ」となることも多いのです。ちょっとしつこく水平質問を繰り返すことで、「これこそ競争力の源泉だな」「ここが問題の核心だった」というポイントが出てきます。
そのうえで、今度は質問をタテ方向に深掘りしていきます。