「キリのいいところまで……」の落とし穴

 ここまで、ネガティブな感情スイッチがオンになって仕事に着手できないときや、気が重くなるような仕事でつい着手が後回しになってしまうときに、ぜひ試していただきたい工夫を説明しました。

 次に、順調に仕事がはかどっているときの「落とし穴」について考えてみましょう。

 みなさんは、仕事に集中できている時に、どんなことを考えるでしょうか。「いまの流れを止めたくない」「キリのいいところまでは、この調子でやってしまおう」と思う人は多いでしょう。休憩を取るのも「キリのいいところまで終わらせてから」と考えるのが当たり前ともいえます。

 たしかに、ひと区切りついたところで休憩を入れたほうが、気分的にも落ち着いて休めるし、仕事の効率も上がるはずと思えます。しかし、ここに意外な「落とし穴」があります。

 実は、「キリのいいところまでやった」というスッキリ感が、心理的な完了状態を生み出してしまい、再スタートを鈍らせてしまう可能性があるのです。

 みなさんの中にも、キリのいいところで休憩を取ったら休憩が思いがけず長引いてしまい、仕事の再スタートが遅れ、しかも再スタートしてからもなかなか調子が上がらないという経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか。

 休憩前に作業をいったん完了してしまったことで、また仕事に戻ろうとする(再スタートする)のに、時間がかかっているのです。

 ここでは、休憩後、速やかに再スタートするための具体的なステップと方法を紹介します。意図的に、心理的「未完了」状態をつくり出すことがポイントです。