時短勤務とは違う?

「短時間正社員」と似た言葉に「時短勤務」というものがあります。

 時短勤務(短時間勤務制度)とは育児・介護休業法で定められている制度です。育児や介護をする従業員は、希望すれば1日の労働時間を短縮できます。ただし「子供が3歳になるまで」など、制度を使える期間は限定されています。
 
 一方、短時間正社員制度は、育児や介護以外の理由でも利用でき、期間の定めもありません。例えば、副業やボランティア活動と両立したい人や、定年後も働きたい高齢者などの利用も見込んでいます。ほかにも心身の不調で休職した社員のスムーズな職場復帰のため、パート従業員のキャリアアップのためといった活用も想定されています。


拡大画像表示

パートから短時間正社員に

 短時間正社員制度は様々な業界で広がり始めています。

 広島電鉄はライフスタイルに応じて正社員のまま労働時間を選択できる制度として短時間正社員制度を導入しています。月給やボーナス、退職金などは減りますが、短時間正社員への転換を希望する正社員は、転換理由や回数を問われず何度でも転換できるようにしました。既存社員の転換だけでなく、短時間正社員の新規採用も実施しています。

 パナソニック傘下で介護サービス事業を手掛けるパナソニックエイジフリーは、パート従業員の正社員化などを念頭に、「時間制正社員」という名称で制度を導入しました。介護業界で人材不足が深刻となる中、長期間安心して働ける環境を整備することで優秀な人材を定着させる狙いです。

 パートタイマーは1年以上勤務すれば、時間制正社員を選択できます。さらに、時間制正社員は、正社員を選択することも可能です。

 時間制正社員の賃金は時給制で、月給制の正社員とは異なります。ただ、時間当たりの賃金は正社員と同水準に設定しています。また、パート従業員と比べると、雇用形態が有期雇用から無期雇用に変わり、パート従業員にはなかった退職金や福利厚生制度も適用されます。

 SBIホールディングスも22年、短時間正社員制度を導入しました。以前から介護や育児のために勤務時間を短縮できる制度を導入していましたが、介護では3年、育児では子が3歳に達するまでという上限がありました。

 短時間正社員制度導入後は期間の上限を撤廃し、介護や育児などの特定の理由に限定せず利用できるようにしています。