4億円の返済命令

 また羽賀はY氏が起こした損害賠償請求訴訟でも敗訴、未公開株のカネとは別にY氏から借りていたカネも含め、約4億円を返金せよとの判決が下っていた。

 ところが、羽賀は1円たりともY氏に返金しようとしなかった。またY氏の方では、収監中の羽賀には差し押さえられる資産がないと考えていたため、手をこまねいて羽賀の出所を待つしかなかった。

 ところが、羽賀が刑務所から出てくる数カ月前、Y氏のもとに差出人名のない書類が届く。そこに書かれていたのは羽賀が沖縄県内に所有している土地やビルなどの一覧表だった。

 その書類にあった不動産を調べると、内容は正確であることが分かった。ところが、Y氏への返済命令が出た直後、羽賀側は、羽賀名義の土地やビルを、離婚した元妻の名義に変えていたのである。

 元妻への譲渡という形になっているが、“偽装離婚”による財産隠しの疑いが濃厚だった。そして結局、羽賀と元妻は強制執行妨害で沖縄県警に逮捕される。この件で羽賀は20年に懲役1年2カ月の実刑判決が確定し服役、21年9月に出所した(元妻は執行猶予付きの有罪判決だった)。

 2度も刑務所暮らしを経験した羽賀だったが、全く懲りていなかったようだ。今回も差押えを免れようと登記を偽装した容疑で逮捕された。