突然入った訃報

 だが、数日後、Y氏の知人から衝撃的な知らせが入った。なんと今年春、Y氏は一人暮らしをしていたマンションの部屋で遺体で見つかったというのだ。どうやら事件性はなかったらしい。いわゆる孤独死だった。

 何年にもわたり手弁当でY氏の代理人を務めてきた弁護士に連絡を取ってみた。

「本当に可哀そうなことになりました。羽賀容疑者と絡むことがなければこんな目にはあっていなかったでしょう。Yさんには離婚した奥さんとの間にお子さんがいて、羽賀との訴訟についても相続人であるお子さんが引き継がれると思いますが、まだその話し合いの機会は持たれていません」

 Y氏が亡くなったことを知る人はほとんどいなかった。もちろん羽賀も知らなかったはずだ。

 騙されて大損害を被ったY氏は失意の中で生涯を閉じた。だからといって、“稀代のワル”羽賀の返済義務が免責されるわけではない。「我が子に対してキッチリ返済してもらう」――それが亡くなったY氏の願いだろう。