「貯金好き」と「おねだり」の関係

 ロスジェネ世代「第3の特徴」とされる「貯金好き」は、年長の県庁職員たちが「こんな高価なものはとてももらえません」と謝絶した「蟹」などの「お土産」を「それなら私が全部もらう」とガメてしまい、家族と一緒に食べて平気という素っ頓狂ぶりと重なり合います。

 ここで、同じ世代の他の事例も念頭に、少し思うのは「ゲーム感覚」で現実世界をイージーに捉えている可能性、もっと言えば懸念です。

 ロールプレイングゲームなどで、敵を倒して「ゴールド」をゲットした、あるいは「ライフ」が増えた、といった感覚と大差なく、「蟹をゲット、ラッキー」くらいに思っている可能性がある。

 報道を見ると、どうやら斎藤夫婦でそれらしいことも懸念され、空恐ろしい気持ちになります。

 特に、東大生などでよく見るのですが、喧嘩をしたことがない学生が多いんですね。つまり、どこまでやっていいのか、限度が分かっていない。

 本当の修羅場をくぐっていないから、実際にはビビリですが、RPGの中では何をやっても勝てばよく、ともかく「ゲットだぜ」とばかりに、法も条例も都合よく解釈し、人命が失われているといった現実も、本当には理解できていない。

 だって、選挙で推してくれた自民党との決別ですら涙ぐむ程度の精神年齢ですから、自分がやってしまったことを本当に自覚して認識すれば、正常な神経ではいられなくなって当然です。

 そして、それを見まい見るまいと、一生懸命目を背けている。

 これは「公務員ゲームというロールプレイの中のことで、そこではルールから外れたことはしてないんだから、ボク何も悪いことしてないもんね」という「醒めない夢」の中で浮遊し続けることができる。

 そのように解釈するしかないでしょう。「道義的責任という言葉の意味が分かりませんが・・・」という阿呆陀羅経に至っては。

「斎藤モトヒコ君」は、ことあるごとに「3年前の選挙で県民の皆さんから4年間の知事業務という付託をいただいた」と、壊れたラジオのように言い続けています。記者などからの質問にもまともに答えられない。

記者:86人の議員全員から、つまり全政党から続投しないでくれと言われているんですよ。分かってますか?

斎藤:大変厳しい状況だということは認識しています。でも3年前の選挙で県民の皆さんから4年間付託を受けて・・・。

 つまり、「3年前、ボスキャラと対決して4年分ライフをゲットしてるだもんね。その間はずっと知事のライフが続くんだもんね。当たり前だもんね・・・」という、極めて幼稚な思考停止が透けて見えます。

 現実の、目の前の状況変化が分からない。県職員を自殺に追い込む、知事が率先して人を死に追いやるというほとんど刑事司法の対象になりかねない事態を引き起こしておきながら、「厳しい状況と受け止める」と言い、「亡くなった方の気持ちは亡くなった方しか分からない」などと、国民大半の神経を逆撫でするような、マイナス発言が平気でできてしまう。

「リアリティ」がないんです。

 現実世界で生きているという感覚を欠いたまま、ラクチンな「公務=ゲーム」を、これまたモトヒコ君ご愛用の「日々の業務」という課長補佐用語で「業績」などと並べて見せる。

 これは、遮二無二「ハイスコア」を取ることにばかり恋々とするゲーム坊やが「見て見て、このスコアもボク、こっちのハイスコアもボクが取ったんだよ。職員? ケンミン?? 何のことだか分かんない・・・」と言っているのと大差がない。

 失われた30年を浮遊できてしまった40代という、等身大の本音を吐露していると思われます。精神年齢が低すぎます。

 リアルな現実世界で、自分の暴挙が人を死に至らしめているという自覚が本質的に欠落していなければ、「ボクはまだ兵庫県知事を続けたい」などと発言するなどあり得ないでしょう。