まず「財政面での地方分権」が必要だ
――第2次安倍政権で始まった地方創生では、まず各自治体に地方創生総合戦略を策定させました。これとは違うのですか?
片山氏:こういう計画はだいたい作らせるんです。地方創生総合戦略のほかにも、過疎地域振興計画だとか、地域活性化計画だとか、もういくつものプランを作らせています。
そうしたプランは、補助金の獲得に直結します。すると自治体のマインドは、どういうプランを持っていくと国で受け入れてもらいやすいか、という方に向いてしまう。
本当は、プランの策定は自分たちの地域を考えるいい機会です。ですがそれを考えず、何が正解かということを考えるような状況になってしまった。
そうすると、今度は東京の気の利いたコンサルが出てきて、気の利いた計画を作ってしまう。そんなことが地方創生総合戦略の策定時に典型的に見られました。いったいそこに何の意味があるのかと思いましたね。
――とはいえ、自治体が動こうと思っても財源は必要です。自主性に任せた場合、この点はどうでしょうか。
片山氏:鶏と卵の議論みたいになりますが、本当は、自治体が自由に使えるお金をもっと増やさなきゃいけません。財政面での地方分権が必要だということです。
ところが、現実は「これをやったら補助金をあげます」という仕組みになってしまっている。地方分権になっていないわけですよね。
そうではなく、本当に自分たちの地域で何をやるべきかということを考えて、自主的な行動を促すのであれば、自治体の手元にある程度お金がある方が望ましいわけです。
理想論ではありますが、本来はまず、財政面での地方分権をもっと進めるべきだということです。
なぜ理想論かといえば、国の方は「そんなこと言ったって、いま地方に考える力はないじゃないか」と考えているからです。「何でも使える財源を与えてしまうと無駄遣いするに違いない」と。
それは、あながち間違った見立てでもないんです。そういう面もあるのは事実です。
地方がちゃんとすればもっと与えられる。でも、地方がちゃんとしていないから与えられない。そんな状況が、鶏と卵の関係になってるというわけです。
――地方の自主性に任せるとなれば、石破新政権の地方に対する役割はどんなところにあるのでしょうか?