最近の亀井静香氏

 ロシアのウクライナ侵攻が始まり、各国の指導者の個性がかつてない形で際立っている。

 コメディアンあがりと揶揄されてきたウクライナのゼレンスキー大統領は揺るぎないリーダーシップを世界から賞賛され、したたかなベテラン策士と恐れられてきたロシアのプーチン大統領は状況を読み違い、袋小路に追い詰められているように見える。そして、超高齢のバイデン大統領は、かつての強引なアメリカとは異なる慎重な対応を続けている。

 国内に目を転じれば、2021年10月末の衆院選で酸いも甘いもかみ分けたベテラン候補者たちが次々と敗北し、政界を引退した。「新しい資本主義」を掲げる岸田政権は高支持率を維持しており、6月の参院選でも与党が大勝しそうな勢いだが、次のリーダー候補が見当たらない状況は今も続いている。

 政治家の資質や才能とはどのようなものなのか、生々しい権力闘争とはいかなるものか。『永田町動物園 日本をダメにした101人』(講談社)を上梓した、元政治家の亀井静香氏に話を聞いた。(聞き手:長野光 シード・プランニング研究員)

※記事中に亀井静香さんのインタビュー動画が掲載されています。是非ご覧ください。

──本書の中で何度も名前があがる政治家の一人が小泉純一郎・元首相です。あらためて小泉さんとは、どのような政治家だったのでしょうか?

亀井静香氏(以下、亀井):純ちゃんは、竹中平蔵(現・慶應義塾大学名誉教授)さんの新自由主義に影響を受けていた。強者が弱者を好き勝手に食って太ればいい、という考え方だ。

 彼は総理をやるべきではなかった。人との約束だって平気で破る。

 2001年の総裁選で彼は勝利したが、最初は俺も出馬していた。でも、塩川正十郎(元財務相)さんから、「同じ清和会から2人出るのはまずい」と説得され、では「政策協定がきちんとできるならば」と応じた。人事を含め、政策は一緒に決めていく約束だったから、降りることを決めたんだよ。

 ところが、そう決めた日の夕方には、もう俺に何の相談もなく、純ちゃんは勝手に人事を決め始めた。

 俺が官邸に押しかけて、「相談しながらやると言ったじゃないか」と言うと、「まあ亀ちゃん、そんなに怒るなよ、そのうちやるから。俺は今朝な、夢精したよ」なんて冗談を言ってはぐらかすわけよ。

 強靭な神経の持ち主だ。ただ、彼の人気の本質は田中眞紀子だった。

 実は、俺も彼女に応援をお願いしたのだが、「亀ちゃん、ごめんね。昨日、純ちゃんと約束しちゃった」と逃げられてしまった。彼女がこちらについていたら、純ちゃんはあのような勝ち方はしていなかったと思う。

 彼は今、脱原発を盛んに主張している。俺も、太陽光発電やバイオマス発電といった脱原発の事業に取り組んでいる。昔ケンカした間柄だが、同じようなことをやっている。面白いね。

──以前から、政界引退後に再生可能エネルギー関連の事業をやりたいと考えていたのですか。