海上保安庁の巡視船。石破氏は海上保安庁法の改正を訴えている(写真:Taiwan Coast Guard/ロイター/アフロ)

 ウクライナに侵攻したロシアは現在、思わぬ苦戦を強いられている。戦況はなかなか好転せず、世界中から制裁を積み上げられ、フィンランドは北大西洋条約機構(NATO)に加盟申請し、ウクライナは欧州連合(EU)の加盟候補国に認定されるなど、当初の思惑とは反対の方向に進んでいる。

 この状況を眺める隣国の中国は、台湾攻略をどのように考えているのだろうか。また、日本はそういった国々とどのように関係を強化して、備えていく必要があるのか。『異論正論』(新潮新書)を上梓した、衆議院議員の石破茂氏に話を聞いた。(聞き手:長野 光、シード・プランニング研究員)

──ロシア側が、ウクライナとの国境に戦車を配置して開戦しました。この光景を見て、今回の戦争の始まり方にどのような印象を受けましたか。

石破茂氏(以下、石破):非常に古典的な戦闘方法を取ったな、という印象でした。戦車は火力も防御力も高いが、重量があって移動速度が遅く、大量の補給部隊も必要とします。相手側としては、戦車1台を壊すより、補給部隊を叩いた方が、よほど効果がある。

 いくらロシアが大陸国家と言っても、この21世紀に大戦車戦で本当に目的が達成できると思っていたのでしょうか。これから立て直しを図ろうとするのかもしれません。

 ロシアはサイバー戦の能力は高いと言われているのですから、20世紀前半風のクラシックな陸戦を選択したことの方が驚きです。とはいえ、制空権が取れていない中では精密空爆もやりづらいでしょうし、最終的には領土を占領しなければ目的達成には至らないのでしょう。

 ロシアは歴史的に、自国の犠牲者がどれほど大多数になろうとも勝利するまで戦いをやめない国です。第二次世界大戦における独ソ戦もそうでした。そういう戦い方が現在のロシアにも受け継がれているかもしれないと考えると、暗澹たる思いがします。

──ロシアのプーチン大統領は「したたかな策士」と見られてきたように思いますが、今回のウクライナ侵攻では状況を読み違えたのか、どんどん追い詰められているように感じられます。石破さんは、現在のプーチン大統領およびロシアをどのように見ていますか。