第2次安倍政権での「まち・ひと・しごと創生会議」では「関係人口」を活用した地方創生に向けた議論が進められてきた=2019年11月22日、首相官邸(写真:共同通信社)
~ 中小企業の今とこれからを描く ~
日本政策金融公庫総合研究所では、中小企業の今とこれからの姿をさまざまな角度から追うことで、社会の課題解決の手がかりを得ようとしています。最新の調査結果を、当研究所の研究員が交代で紹介していきます。今回は、前回に引き続き、地方における副業・兼業人材の活用について考えます。
(桑本香梨・青木遥:日本政策金融公庫総合研究所)
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契約前の面談でトラブルを回避
副業・兼業人材の就労形態は業務委託型が一般的だが、業務中のけがや報酬の未払い、受け入れ企業からの過剰な成果の要求が起きた場合に、雇用者と比べて法的保護を受けにくい。
副業・兼業人材を受け入れる側の企業でも、情報漏洩や健康面でのリスクのほか、風評被害や突然辞められてしまうことなどを課題と感じている(リクルート「兼業・副業に関する動向調査データ集2022」、表)。副業・兼業人材を採用する際には、一定のフィルター機能や、問題が生じた場合の対応に関する取り決めが必要だろう。
表:副業・兼業人材を受け入れて感じる課題(複数回答) 資料:リクルート「兼業・副業に関する動向調査データ集2022」 (注)社外の副業・兼業人材を受け入れている企業に尋ねた結果。回答数は801人。拡大画像表示
岐阜県のG-netでは、副業・兼業人材と受け入れ企業の間でミスマッチが生じないように、マッチングの前段階から企業をサポートしている。10人のスタッフが、それぞれ担当する企業について、募集要項の作成や、書類選考とオンライン面談、応募人材との業務委託契約の締結に伴走する。
副業・兼業人材の選考には必ずオンラインでの面談を取り入れる。書類上の肩書だけでは、経営者との相性や業務に対する考え方のずれを把握できない。契約前に、副業の期間やリモートの可否、交通費の支給の有無などの必要事項を副業・兼業人材に伝えておくことも、後のトラブルを回避することにつながる。
リモートに不慣れな経営者も少なくないので、スタッフが同席してコーディネートし、事業概要を補足したり、確認事項に漏れがないか注意したりする。
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