ポスコも大変な時代に
ここ数年の営業利益を見ると、2021年に9兆2381億ウォン(1円=9ウォン)を記録した後で、2022年4兆8501億ウォン、2023年3兆5314億ウォンと急減している。
2024年もさらに減益になるとの見方が少なくない。
そもそも2021年の業績も「中国が鉄鋼輸出を制限して輸出市場での価格が上昇した一時的な要因だった」(日本の商社)との指摘もある。
簡単に言えば、ポスコも以前ほど高収益の企業ではなくなってきたのだ。
ポスコと取り引きがある韓国の製造業の役員はこう話す。
「ポスコは本業の鉄鋼事業が苦しい。供給過剰になっている中国から海外市場に大量の製品が輸出されていることが響いている」
「新規事業として、EV(電気自動車)バッテリー向けの材料事業を拡大したが、世界的なEV販売不振で苦戦している」
韓国紙デスクは、「もっと根本的な原因もある」と話す。
「ここ数年、韓国では人件費が高騰した。新型コロナの期間を経て、ポスコの人件費は日鉄より高くなった」
「その分、原価競争力が下がって、収益が落ちている」
張仁和会長は立て直しに悪戦苦闘する日々だ。
日鉄も今、USスチールの買収が正念場を迎えている。
日鉄の経営に詳しいポスコ役員経験者は「両社とも、当面の難題解決に必死だ。そもそも、過去の人間関係で経営をする時代でもない。両社の関係は一気に冷え込むこともないが、徐々に遠くなっていくのは仕方がない」と話す。
その一方で、「これだけ長い期間続いた良好な関係だから、いつかまた新たな協力関係が始まるかもしれない。仲たがいしたわけではないし、提携は維持するのだから」と期待する。
そんな日がまた来るのか。ポスコは保有する日鉄株をどうするか、まだ、明らかにしていない。