価格が「高過ぎる」…「iPhone離れ」と言われる根拠
日本のiPhone離れがニュースとなったのは、最近では2023年9月から10月にかけてのことでした。香港の調査会社カウンター・ポイント・リサーチの調査結果として、同年4〜6月期に日本国内で販売されたスマートフォン販売に占めるiPhoneの割合が前年同期比で12ポイントも減少し、46%となったと報じられたのです。iPhoneの販売シェアが日本で50%を下回るのは過去2年で初めてでした。
苦戦の原因はiPhoneの高額化です。
円安の影響などにより、iPhoneはここ数年、価格上昇が続いています。例えば、最下位機種を比較していくと、2020年10月発売の「12」は8万5800円、2021年9月の「13」は8万9818円でしたが、2022年9月の「14」からは10万円を突破し、11万9800円に。そして「15」からは12万4800円となったのです。上位機種で容量の大きい機種には20万円台のものもあります。
さらに米アップルは2022年7月、急激に進んでいた円安を理由としてiPhoneを含むアップル社製品を一斉に値上げしました。発売時に10万円を切っていた「12」と「13」の最下位機種は1万6000円〜1万9000円も値上がりし、双方とも10万円を突破。「SE」や「mini」を除いてiPhoneはすべて10万円以上する商品になってしまったのです。
日本はこの間、なかなか増えない賃金と物価高に悩まされてきました。いくらブランド力があるとはいえ、各家計に10万円を超すiPhoneを頻繁に買い替える余力があるかどうかは疑わしいかもしれません。実際、「16」シリーズをめぐっても、ネット上には「斬新な技術が載ったわけでもないのに高過ぎる」「ブランド品のバッグなどと同じような位置づけになってきた」といった声が溢れています。
こうしたiPhoneの状況に対し、日本市場で勢いを増しているのが、米グーグルのスマートフォン「Pixel(ピクセル)」です。MM総研の調査によると、iPhoneの販売が50%を割り込んだ2023年4〜6月、Pixelの販売シェアは過去最高の12%を記録しました。前年同期の実に6倍です。その時期の主力だったPixel7(128GB)は8万2500円。性能に大差はないと言われるなか、iPhone勢より2万5000円以上も安かったのです。