ヘンリー夫妻への批判、印象操作の影響か?

 この動画は配信時期も注目された。動画投稿の数時間後、ヘンリー王子が手がけた馬術競技に関する新しいドキュメンタリー番組の予告画像が、ネットフリックスによって公開された。キャサリン妃のがん克服報告があったばかりなのに、自分のドキュメンタリー宣伝を配信するのは何事か、という含みのあるメディアの論調もちらほら見られた。

 しかし、ネットフリックスほどの大手による番組予告は事前に日程が組まれていたと思われ、少なくとも公には予測されていなかったキャサリン妃の動画配信にわざわざ当ててきたという筋立ては、少々難癖にも感じられる。

 先の皇太子夫妻による熱愛シーンについてもそうだが、同じ様子をヘンリー王子夫妻が投稿していたら英世論の反応はどうだっただろうか、という問いも多数見られる。

ヘンリー王子とメーガン妃(写真:The Mega Agency/アフロ)

 筆者は、過去の性的暴行疑惑を取り沙汰されているチャールズ国王の弟、アンドリュー王子や、故ダイアナ妃との婚姻中に不倫をしていたチャールズ国王らには、明確に批判されるべき理由があると考えている。またキャサリン妃はコロナ禍で国民にマスク着用が義務付けられていた時期、マスクなしで公の場に複数回登場したこともある。

 こうした王室への批判に対し、王室に礼を失したとは言えても、重大な法令違反を犯しているとは言えないメーガン妃に対する、特に英国で税を納めていない日本人の間に広がるヒステリックな集団嫌悪の大合唱には、首をひねらざるを得ない。

 数年前、ある日本メディアの幹部クラスのロンドン駐在記者に「メーガンさんの何が悪いのか」と聞くと、「何となく印象が悪い」という回答しか返ってこなかったことには驚愕した。どこかこの論議には「印象操作」による危うさが感じられてならない。

 幼い頃、メディアによる過剰な報道合戦の末、不条理に母親を奪われたヘンリー王子は、そのトラウマからか若い頃は相当な“悪ガキ”であったことは否めない。裸で女性に抱きつく姿や、ナチスの扮装をした画像が拡散されたこともある。ドラッグにまで手を染めるなど、アンドリュー王子よりも転落した人生を送った可能性すらある。

 しかしメーガン妃と結婚して以来、ヘンリー王子は性的暴行などに匹敵する、重大な違法行為を犯したことがあっただろうか。